カラーネガフィルムの自家現像 Vol.5(完成編?)

カラーネガの現像についても、もうVol.5まで来ました。

過去の記事はサイトマップの下の方、Note>自家現像のところから辿れるのでご興味のある方はどうぞ。

で、前回Vol.4でかなりドヤ顔で「5分ジャストでよい結果が得られている」と述べたのですが、最初に訂正しておきます・・・・

すみませんでした、やっぱ「3分30秒」でした!

コダック/KODAK カラーネガフィルムGOLD 200-36EX 10本パック

能動的3分半への道のり

笑・・・なんだよ(残念だな)、と思いますが、自分でも以前言っていたことと「1分半」も違うってなんなんだと思います。一応、以下にその経験を書きたいと思います。

当時、しばらくは5分で対応していたのですが、どうも細かい部分で粗さが気になるようになりました。それで試しに4分50秒で対応したところ、問題なく現像できるけど、まだちょっと空などの面の部分に粗さを感じるという感じになりました。そして4分40秒で対応すると、面以外の物が写っている部分も少しシャープになってきました。ここで手応えを掴んだ私は、もう少し短い時間での現像を試してみることにしました。

そして以下は4分30秒で対応していたときの作例になります。夕方の日が沈む直前の撮影なため、少々一般化しにくい作例です。写真の雰囲気としては良いと思いますが空などの面に少し粗さが残っています。フィルムはKodakのProimage100、SSはおそらく60~30分の1秒あたり、F値はSummicron 35mmだったためおそらくF2あたり。


コダック/KODAK カラーネガフィルムGOLD 200-36EX 10本パック

このような流れで少しずつ時間をずらして行きました。そして4分ジャストでしばらく対応していました。ただこれでも少し気になる部分が出てきました。やはり空などの面の広い部分が荒く感じるのと、細かいアウトフォーカス部分のシャープさをもう少し追求したいと思いました。自分の記憶としては子供の頃はフィルム写真しかありませんでしたので、その頃はもっとシャープに、それこそ今使われているデジタルのようなシャープな感じがフィルム写真にもあったと感じていました。それが手元の自分のフィルムでなぜか出ていない。店舗での現像なら、機械で正しい濃度の薬品と正しい温度、時間での現像で、シャープな現像ができているはずで、それが手元で感じられないということは、自分の現像時間が違っているということだと理解しました。

薬品濃度などは一応容量を守って希釈しているので問題ないと据えました(ちなみに水温はいずれも30度です)。また機材に関してはレンズは最新に近い状態のよいレンズなので問題ないとして、ボディ側はある程度シャッタースピードが調整されたものを使っているので、こちらも問題なしとしています。(シャッター精度の違いであれば現像後の画像を見ればそこが問題でないことはわかりました。)

そしてトライアルは4分から少しずつ時間を短くしていって状態をみるトライアルを行いました。以下、3分40~45秒あたりでトライアルしたものだと思いますが、作例を載せます(フィルムはKodak Proimage100)。

これは暗めの場所、明るめの場所を例として載せましたが、以前より粗さは軽減しているように見えます。最後の1枚の空も(これも日が傾いた頃、16時過ぎあたり)以前よりは荒れていないように見えます。

以下は同じく3分40秒あたりでの作例の続き。フィルムはKodak Gold 200、最後の回転寿司の1枚のみPortra400(高いフィルムだけありシャープだが無駄なショットw)。


コダック/KODAK カラーネガフィルム GOLD 200-36EX 10本パック

お祭りの暗めの状況での低速シャッター(30〜60、125あたりまで)ですが、わりとシャープに処理できるようになった気がします。個人的には体感としても当時の状況、空気感が出ていて、多少の粗さは目をつぶるとしても雰囲気は気に入っています。

そして現在は、3分30秒でのトライアルまで来ています。ここまで来て自分が気にしていた、空などの面の広い部分の荒れが目立たなくなってきたと思いました。もちろん他の物体、建物、景色などの荒れも抑えられており、色なども目でみていたものと変わらないと感じました(薄くなったり、濃くなったりはしていない)。

以下、3分30秒での作成です。最初の3枚はEktar 100、後半はKodak Gold 200です。エクターについては実は若干、定着漂白でしくじってるのですが、そこは脇へ置きます。個人的には4枚めの枯葉の写真がシャープにできたのが満足です。背景に少し写っている空も粒状感も適度かと思います。

さて、一旦ここまで来て満足している状態なのですが、このあとも何本か現像時間を調整して試してみるつもりです。個人的には3分15秒~25秒あたりで調整してどうなるか試してみたいです(時間なくてまだ撮影できていない・・・あと、実は手持ちのライカM4が壊れたため、メンテ待ち)。空などの面の粒状感がどの程度まで抑えられるか、撮影条件(天候、朝夕などの光の時間の違いなど含め)をいくつか変えて試してみようと思っています。

この3分半について考えたこと

この3分30秒という時間にたどり着いて思ったことがあります。

これってよくあるラボ向けの現像機で使うことを前提とした現像時間と同じなんですよね。もちろん少なくなったとはいえ現像液にもいくつか種類があるのと、今はもう販売中止されているものの過去情報がネットに残っていたりするのですが、色々調べているとだいたい温度が37度(±1度)で、現像時間が3分〜3分半と指定されているのを見かけます。しかしこれはあくまで個人では持てないであろう大きな現像機を使ったときの指定で、自家現像にトライしている個人の方の多くがよく次のようなことを言っているのをみました。

手動で現像する場合は、水温を37、8度で安定させることが難しい、また現像時間が3分だと短いいため画質を安定させられない、そのため温度を30度に下げて、その分、現像時間を3分より長めに確保していると。

自分もこの言説を感覚的に納得できることもあり、信用して対応していました。ただ、これまで何10本ものカラー現像を毎日のように行ってみて気づいたのは、もしかしてカラーの現像液での処理は、温度が30度以上であればだいたい3分程度でいいのでは?ということ。おそらく水温が20度あたりに極端な設定をすると変わってくるし、もちろん現像時間が長すぎると失敗するのはわかるのですが、温度が30~35度あたりまでで、3分前後であればきちんと現像できてるんじゃないかなと思いました。あとは精度をどの程度、どこまで求めるかによるかなと。

コダック/KODAK カラーネガフィルム GOLD 200-36EX 10本パック

一方で、すごく冷めた目

たまにですが、自分は一体何者なのだろうと思うときがあります。ほとんど毎日のように1本〜程度の現像をしていて(出社のある日はできず)、正直、たまにしんどくなるときや面倒に感じるときもあります。よくこういうときに、人間的なファジーな言い回しで、熱意とか情熱とか暑苦しいことを考えてしまいがちですが、すごく冷めた目でみると、単純に暇なのでお金かけて、入力とフィードバックのシーソーに酔っているだけだと思っています。よくスマホゲームにハマる人っていて(私はやらないようにしていますが)、じゃぁそんなに面白いゲームなのかと思うと単純なパズルゲーだったりして、あれって、何もしないと退屈だけど、あまりに高度過ぎたり、頭や身体を使うものだと面倒くさい、手元で適度な負荷で対応できることをずーっとし続けてしまうという人間の性質によるものだと思います。私にとっての現像はそれと同じで、なんとなくルーチンをこなして、結果みて多少考えて満足する、少しの退屈しのぎと少しの負荷と少しの満足感のループから抜け出せない感じでしょうか。

これも自分の道だとは思うので、現像道はまだ続きます。


Cinestillの粉末カラーネガ現像キットを試す!

※23/3/27追記
現在ではこの現像液は、国内では劇薬に指定されている成分が使われているということで入手不可となっているようでした。他の方からのご指摘できづきました。ある種のご参考にとどめてください。(ちなみに記載当時は国内でも入手できました)

※9/3ページ下部に追記あり

日頃、自分でカラーネガの現像を行っていて、もっと簡単に入手できるカラー現像キットのようなものはないか?と探しているのですが、1つありました!

それが「Cinestill Cs41 Powder Developing Kit for C-41 Color Film」です。

こちらはCinestillというカリフォルニア州ハリウッドにあるフィルムメーカーが出している薬品です。独特のタングステンフィルムなどをリリースしています。ちょっと高いフィルムですね。

cinestill カラーネガフィルム 800T 35mm 36枚撮り 1本

本現像キットの公式の説明としては以下のような感じです。

<公式のコメント>
CinestillのCs41粉体現像キットは、ご家庭で独自のC-41薬品、カラーフィルムを処理するために設計されています。これには、33.8液量オンスを作る2つの化学浴処理混合物が含まれ、35mm(36 exp)の約8つのロールを処理します。または120フィルム。自宅で白黒フィルムを処理したのと同じ装置を使用して、さまざまな温度で使用できます。このパウダーは、水、温度計、シンプルな現像タンク(別売り)で使用するように設計されています。

CineStill 800235 50Daylight 微粒子カラー写真フィルム

この現像キットについて、いろいろ調べても英語の情報しか出てこないですし、Youtubeなんかだと液の作成から現像工程とか、いろいろ情報あるんですが、日本語情報が少なかったので先んじてやってみようかなと・・・。

この現像キットの入手方法

最初に簡単に入手できる、と記したのですが入手がむずかしかった。私は海外のショップを色々調べてやっと入手しました。一時は海外でも全部在庫切れになっていたのですが、みんな大好き「B&H」さんで「Back order(お取り寄せ)」となっていたので、とりあえず注文しておいたら1ヶ月半〜くらいして発送されました。そこから約2週間で手元に届きました(入手は夏前だったんですが、ダルくて他現像液の都合でこのタイミングですw)。

入手に苦労したよ・・・という話をしようと思ったら、今では「かわうそ商店」さんで売ってらっしゃるんですね・・・(しかもちょい安いかも・・・)。

かわうそ商店
カラーネガ現像キット粉末タイプ CINESTILL Cs41 Dev KIT1リッター

B&H
Cinestill Cs41 Powder Developing Kit for C-41 Color Film

Cinestill現像液の作成

現像液の生成を行っていくわけですが、どうやらかわうそ商店さんで買うと、日本語説明書が同封されるようです。おそらく元の英文の説明書をローカライズ(日本語化)してくれてるのでしょう・・・英文と格闘したわたしを誰かほめてほしい・・・。

コダック/KODAK カラーネガフィルム GOLD 200-36EX 10本パック
パッケージはこんな感じ(銀色の袋)
中には3袋の薬品と説明書(英文)が入っている

さてここから、薬品の制作過程を動画にしましたので(すっごいマメだなと自分をほめてあげたい・・)、こちらをご覧ください。(動画は現在削除しております)

一応補足説明をしておくと、パッケージの中には3つの袋、池袋、沼袋、乳袋が入っており・・・すみませんふざけました・・・赤1点、青2点の袋があり、赤が現像液、青は漂白定着液を生成する薬品になります。

ぬるま湯(常温の水)に溶かして1リットルの薬品を作成していきます。まず5〜600mlくらいの水に、赤いパッケージの薬品を溶かします。ここまではモノクロ現像でおなじみのミクロファインとかと同じ(それはモノクロ用だけど)。だんだんと水を注いで1リットルにしつつ、薬品を溶かし切る。

そして漂白定着液も1リットルですが、まずはPartAを5〜600mlの水に溶かして、ピッチャー(メスカップ?)から保存用の容器に出したり入れたりしつつ、PartBの粉を入れます。どくどくしい色しています。そこから容器で出し入れ何度かやって混ぜて、水を1リットルになるまで注いでいき、保存容器にいれていきます。きちんと薬品が溶けるまで混ぜて終わり。まぁ、いずれもある程度薬品をいじったことある人なら普通です。

この漂白定着のピッチャーと容器の出し入れの工程はおそらく説明書に、PartBの薬品を入れると化学反応があって、吸熱反応が起こるので・・・と書かれています。ちょっと手で触れてみたのですが、ちょっと冷たくなったような気がしました、気のせいだったらごめん。あとすぐ蓋を閉めると、中がシュワッとしてるので膨張した感じになるので、少し蓋あけといた方がいいのかも・・・。(ちょっとこのあたりは状況みてやってよw、ぶん投げる・・)

cinestill カラーネガフィルム 800T 35mm 36枚撮り 1本

この現像液での現像結果

うーん、どうだろうね(笑)。

というのも説明書に液温度と、現像時間について、増感なども含めて表が書いてあって、自分は液温32度で、8.5分での現像、漂白定着は8分での対応をしました。液温29.5度だと13分だって。結果としては以下のような感じ。

うーん、比較的うまくいったものをチョイスしましたが、個人的にはそこまで満足はしていない。明るいとこが飛んでるものもあったので、おそらく現像時間が少し長かった可能性がある。とはいえ、空の色なんかはちゃんと色でている。短距離でとったものも対象が少し荒れているので、曇りでの撮影だったとはいえ、現像がジャストだった、という感じはしない。

まだ1本しか試してないので、もしかすると32度で7分半〜8分とか、もうちょい短めに試してみたら違ってくるかなと思いますが、どうでしょうか?

【9/3追記】別の現像時間で試してみた

上記、公式の説明書には、29.5度で13分、32度で8.5分といった形で各種温度と現像時間が記載されているのですが、前項までに試したのは32度/8.5分。でも結果をみてみると、以前別の現像液で時間オーバーしてしまったときと同様な荒れや白飛びが起こっていました。そこで、現像時間を短くすれば安定するのでは?ということで早速試しました。以下、現像を32度で7分、漂白定着を8分で対応したところ、これで成功しました。余は満足じゃw。
(9/10追記、その後も7分で試していますが、非常によい結果が得られています。この現像液わりといいですね。コツをつかめば安定しています。現像MAXで8本と、本数少ないのでコスパはそこまで良くないですが、撮影済フィルムを溜め込んでからやる人にはよいかも。)


KODAK カラーネガフィルムGOLD200-36EX 10本パック
コダック Kodak エクタカラー RA 発色現像補充液 RT (10L)
Kodak コダック エクタカラー RA 漂白定着補充液
コダック Kodak エクタカラーRA発色現像スターター (1.2L)[EKTARADEVST1.2L]