ライカM-P typ240、独特の陰影がとても素晴らしかった。

このブログ、なんだかライカ遍歴(レビュー)をご紹介する内容になってしまっていますが、興味のある方、情報をお探しの方にはなるべくリアルな部分をお伝えしたいと考えています。ある意味、私の病歴になっていますが。
ついに、デジタルライカ入手に至ります。一念発起して入手したのは、デジタルMの最高峰だった「Leica M-P typ240(ライカM-P)ブラック」でした。

入手の経緯はライカM6の記事で少し触れましたが、家族で旅行に行った帰り、衝動的に欲しくなり・・・このあたりがとてもビョウキっぽいですね・・・嫁に頼み込み、色々理由をつけて許可を得て購入しました(逆に言うと、それ以外は許可を得ていないわけですw)。

それまでライカのデジタルには無縁だと思っていました。しかしある方の写真をみて、光の写りかたにやられてしまった。
購入の前後、私はある研究者の方のインスタやTwitterをみていました。TVなどでも有名なその学者は独特のキャラクターで知られおり、当時はよくTwitterなどで、自ら撮影したスナップを披露していました。彼は普段からライカM10を使っており、TV出演時ですら腰からライカを下げているという独特な風貌な方です。話の中心はそこではないためあえてお名前は伏せます。その方が撮られる写真が独特で、街や自然の中にある光と影が作り出す幾何学的な形をうまく捉えており、それにとても刺激を受けました。都市のビルや配管、窓ガラスなど無機質な構造物が光を幾何学的に切り取り、映し出す明暗。幼少期、実家裏にある神社と森を遊び場としていた私は、当時から木漏れ日が作り出す複雑な光と影をぼんやり眺めているような子供でした。それは心象風景として記憶に残っており、自分でこの陰影、空気感を捉えたい、そう思うようになっていました。

デジタルライカに興味はあったものの、新品で100万、中古でも50万以上という値段から、自分には無縁のものと考えていました。デジタルでは、使い勝手のよいSony α7IIで事足りており、そもそもSonyのEマウントの純正レンズを購入するのすら四苦八苦していました。フィルムではライカM6を使っており、良さはわかっていたものの、フィルムは趣味性が高いため、どちらかといえばデジタルメインで、α7IIでオールドレンズ遊びができればよいと考えていました。
しかし、その研究者さんが撮る写真の、あの陰影、空気感を見て、どうしてもあのイメージを自分も体感したくなってしまった。自分の美意識の根源をくすぐられるような光と影の印象。これを手に入れたい。

『デジタルライカを買わねばならぬ。』
誤解を恐れずに言うならば犯罪者にも似た衝動を私は持っているのでした。

そしてデジタルライカを入手するべく調査を開始。M10も出ており、中古もちらほら出始めていましたが、まだ値段も高く手がでませんでした。そのため中古の「ライカM(typ240)」を探すことに。しかし一方で通常の「M」だと面白くない・・・(こういうとこが天の邪鬼です)。ならば、ということで、よりプロフェッショナル向けな「ライカM-P」を選択しました。(よく考えると一番高い機種選んでいる矛盾はあります。もちろん入手は中古とはいえ。)
細かいスペックは公式ページや他ブログなどに譲りますが、ざっと言うと、赤ロゴがない、バッファメモリが2GBである程度の連射が可能、背面液晶がより高級なサファイアガラス?になっている、シャッター音が静か・・・などです。メモリに関しては、正直ライカで連射しようと思っていないためよくわかりませんでした。おそらくライカMと比べればわかるのかな?。シャッター音の静かさは、かなりのもので、コトッとにぶい音がします。おそらく屋外ではほとんど聞こえないのではないでしょうか。「P」を選ぶ人がよく言う「ステルス性」云々はただの自意識過剰だとは思いますが(揶揄ではないw)、無用な気を使わなくても済むというのは気持ち的に楽です。とはいえ基本「ライカM」と同じ性能なので、選択基準としてはステータス性かな、と個人的には思っています。

肝心の「写り」ですが、とても驚きました。独特のコントラスト、空気感、陰影・・・。まさに私のほしかった絵が撮影できました。特にモノクロ撮影では、近所の小道も意味ありげに写り、日中もしくは夕方の空を何も考えずに撮るだけで絵画のような写真が撮影できました。日中のビル街を撮れば、ビルに反射する光と、影になっている側面の深い陰影がシャープな彫刻のよう。開放で撮れば対象がキリっと浮かび上がり、背景が美しく溶けている。なるほど、値段はさておき多くの人を引きつける魅力があるわけです。
もちろん多少の不便もある。M10以前の機種では高感度耐性が低いため(といってもM9よりはかなり高感度まで使える)、夜の撮影だとブレますし、コツが必要です。こうなるとレンズはF1.4まで欲しくなる蟻地獄。「Summilux 50mm(約50万)が欲しいよ病」のはじまりです。
ISO感度は、オートにした際の最大値の上限を事前に設定できますが、私はISO 2000~2500あたりまでの設定にしていました。他の方のレビューですと、ISO1600までは常用できるとおっしゃる方もいて、そこはノイズとご自身の許容がどのあたりかでご判断かと思います。やはり夕方から、ISOとシャッタースピードに気をつけないと結構ブレます。色の出方については、多くの方が以前のM9系とは別ものといっており、他の作例をみても確かに異なるように思います(私はM9を扱ったことがありません)。またM10の色の出方とも別ということもよく言われています。今メイン機のライカM10では(←あれ、今さらっとなんか言ったよ・・・)明るく鮮やかな色味になっている気がします。
最近、M10リリース後に書かれた開発者インタビューを読みました(2017年頃のかな?)。それによると、ライカ社でもユーザーからM9の色味が好評なのは承知しており、M10はそれに近い調整をしてあるとのこと。当然、M9で不評だった色かぶりや、極端な傾向などはうまく調整済みで、M10ではうまく色がでるようになっているようです(M10では人の肌の色がアレコレあるようですが、自分はポートレート撮らないので不明)。

ライカM、M-Pの色味については、逆にM10が出たあとでは唯一のものになるのかなとも思うのですが、ときに絵画的とも評されることがあるように、とてもすばらしい絵を出力します。水辺や夏の空などを撮影すると独特の陰影、とろけるような光を表現し、とても好みです。自分の美意識をくすぐられるものがあります。デジタルライカへの移行を考えてらっしゃる方がいたら、ライカM系もまだまだ現役ですし、まれに、頭おかしい程ショット数少なめの美品も出てたりするので、ぜひお手にとってみてほしいです。(ちなみに自分も中古で入手しましたが、発売から数年たっているのに新品同様で、ショット数は300程度でした・・。試し撮りしかしてないじゃない・・。)

最後にライカMの重さですが、確かに厚みがあり重いですが、持ちやすいサイズだと思います(M5が大きくても持ちやすいのに似ています)。サムレストをつければ片手でも安定して撮影しやすいです。ちなみに私が使っていたサムレストは塗装が剥げて真鍮が露出していてよい味を出していました。
また、実を言うと、カメラ本体のモノとしての作りは、M10よりMの方が上な気もしてるのですが、そこは言わないことにします(M10は底蓋がなんかペラっとしてるんですよね・・)。
あと最後に、あくまで個人的見解として一言。私は道具をノーマルで使いたいタイプなのですが、たまに、わざとヤスリでこすってブラックペイントの塗装をはがし、真鍮を露出させてしまう人をみかけます。あれは厨二ですよ、もったいないのでやめましょうw。 まぁカスタムは個人の自由ですし、その方の持ち物なので文句はいえませんが、個人的にはもったいないなぁと思ったりします。

created by Rinker
¥15,250 (2025/01/16 19:00:40時点 楽天市場調べ-詳細)

これで最後かな?ライカM4。やっぱり完成形はすばらしい。

なんだかライカ歴を紹介する内容になってしまっています。これまでいくつかのカメラを使ってきましたが、自分のスタイルにはライカが一番しっくりきているようです。周りにライカ使いの友人がいないので、使用感の共有もできず、人によっては成金趣味と言われてしまうかもしれませんが、多くの人が好んで使っているってことは、当然ながらブランドやステータス以外にも、使用感や携帯性、シンプルな操作での速射性など魅力があるわけです。

さて、いま私がメインで使っている「Leica M4(ライカM4)」についてです。

LEICA ライカ M4 中期 122万台 1969年 ドイツ製【中古】AB

ちょうど去年の年末、とても仕事が忙しく、具体的に何をしてたか記憶にないのですが、当時、確かFUJIFILMのTiaraか、Tiara IIあたりを使っていたのかな?(後日書くかも、面倒だけどw)。ライカM2を手放してしまい、その穴を埋めるように、手軽に撮影できる小型のAF機が欲しいと思い、日本製コンパクトフィルムカメラに手を出していました。ライカM2を売却した理由は当時の金策(こんな話ばっかり・・・)と、シンプルすぎるという点に少し飽きてしまっていたからからな(これも贅沢な話ですね)。M2は使い勝手もよかったし、ある程度雑な扱いをしても問題がないため、自分流に使いこなすには最適な機種でしたが手放してしまった。結局はそれを自分流に着こなして使い切るような「風流さ」が自分には欠けていたのだと思います。

created by Rinker
富士フイルム
¥52,000 (2025/01/17 00:29:27時点 Amazon調べ-詳細)

そんな中、またしてもレンジファインダー熱が出てしまいました(こんなことばっかりしてる・・・)。しかもその前後で、実は、これも頭おかしいのですが、名機Nikon F3などにも手を出しており、久々に一眼レフを触ったりもしていました。しかし一眼レフの大きさや重さ、シャッター音の大きさが自分には合わず、結局ライカに戻りたいと思うようになりました。
自分としては、金属の塊感のある機械類が好きで、それでいて小型で質実剛健というものを好む傾向があるようです。そんな経緯で、

やっぱりライカが好き(照)。なにいってんだこの人・・・。

私はこういうときの行動は異様に早い。すぐにM型ライカを物色開始。ライカM6は異常な値上がりで手がでなくなっていましたし、電気系統の故障は嫌だな・・・と、そうなると使ったことない「ライカ M4」に狙いを定めます。

あまりボロボロでなく、一方で値段が極端に高すぎず、それでいてちょっとしたステータス、少し個性が欲しい・・・。相変わらず欲張りです。 そこで作りがよいという噂のある120万台以前のライカ M4を探すことに。外観は実用重視なのでそこそこでよい・・・。それがありました!

数年前にO.H済みで動作はOKで、118万台(適度に初期もの、67年製)、外観は軍艦部、底部に多少のブライトマークありだが軍艦の文字消えなくきれいに表示され、グッタペルカ(バルカナイト?)の剥がれなし、裏蓋回りの塗装、状態もかなり美品、内部も金属の痛みが少なく、ファインダーもきれい・・・。こう並べてみると、かなり高望みな要望ですが、これをクリアしているものが破格の値段でありました。私は、自分を目利きだと思っている節があるのですが、こういうときのわりと外さないことが多いです。

早速入手して実写しました。これは「アガリ(最後)だ・・」と思えるものでした(後日追記:ぜんぜんアガリではありませんでしたw)。モノクロフィルムを入れて近所を散歩、シャッター、巻き上げなど使用感も問題なし。そして現像後、出てきた絵に感動しました。使用感と同じように意図した雰囲気で撮影できていました。私の感露出でもある程度問題ありませんでした。いつも使っているSummicron 35mmでイメージ通りのコントラストのよい写真ができました。夏前までは第3世代の7枚玉、夏以降は最新のASPHレンズを使用しています。(写りの好みとしては7枚玉の方が上だったかもしれません・・・。最近7枚玉、異様に値上がりしてるんですよね・・。)

フィルムの海外持ち出し(インドネシア編)で記載している通り、夏にバリへ行ったのですが、そこでも7枚玉Summicronで撮影。思ってたより涼しい気候でしたが、そこは常夏の島、強い日差しと南国の植物が作り出すコントラストは非常に美しいものがあり、気持ちよく撮影できました。一部、その記事と重複しますが、いくつかモノクロをピックアップ。

ライカ M4は、M型の完成形と言われていますが、確かにそう思います。非常に無駄の無いデザイン、機能性、使用感。クランク式のフィルム巻き上げもその後のライカ M6に引き継がれますが、使いやすいですし、フィルム装填も楽です。それにシャッターチャージ、レリーズも感触がよい。シャッター音も個人的にはとても満足。値段と使い勝手のバランスを考えるとライカ M4はかなりおすすめできると思います。世間でライカといえば「ライカM3」ですが、実は触ったことがありません。というのも広角35mm枠が使えないため、完成度の高さはなんとなく理解しつつも自分としてはM2以降の機種が好きです。
露出計については、当初すべて感露出で撮影していましたが、最近VoigtlanderのVCメーターIIを導入しました。これ付けると露出計を頼るようになり感が鈍るのであまり使いたくはないのですが、当然失敗は減るので使用しています。露出計に頼ると、いまの設定を確認したくなり、撮影のテンポが遅くなるのがデメリットです。気にしなければテンポと自分の感で撮れる。SS固定にして絞りの調整だけで同じ場面を2、3撮っておけば、まず空振りは防げる。とはいえ、なるべく適正露出で撮りたいとも思うので、ここは一長一短でしょう。

created by Rinker
フォクトレンダー
¥33,333 (2025/01/17 00:29:27時点 Amazon調べ-詳細)

フィルムライカはこのライカ M4で最後かな・・・(追記:まさかこのあとも続くとはね・・・)。やっぱりM型の完成形としてすばらしい。(まさかそのあとM-Aが来てまたおかしな方向へ行くとはね・・・ここでやめときゃよかったのに

最後にカラーフィルムで撮影したものを以下に掲載。一部、カラーでの自家現像をはじめて1本目、2本目くらいのものが含まれているのでとても粗いものも含まれています。私は自分で撮ったものを作品なんて呼ぼうと思っていませんが、どれも自分にとっては大事なワンシーン。意味は自分の中にだけあればよいかな、というのを言い訳にさせてください。(今年は台風の影響が大きく後半の数枚は台風が去って被害を受けたあとの多摩川近辺の写真。おそらく自家現像2、3本目あたりのフィルムかな。ちょっと荒いけど陰影はけっこう好きな感じ。)


Kodak カラーネガフィルム ProImage 100 35mm 36枚撮り 5本パック