ライカM2、シンプルで超実用、とても質実剛健なカメラ

フィルムをはじめてから、一応手元に1台はフィルムカメラを持っておきたいわけですが、一時的に手元に1台もフィルムカメラがない時期もありました。そうだね、金欠だねっ。

記憶が前後してますが、コンパクトフィルムカメラに熱を上げてた時期もあり、流行りにのってContax T2、もしくはFUJIFILMのカルディアミニ・ティアラあたりをいじっていた時期(こちらの感想は後日)もありました。ちょうどその頃、機械式カメラを手元からすべて手放してしまった時期がありました。

ご承知の通り、ビョウキなので、こういうときの思考法としては、
「いつ壊れるかわからない(古い)電動式のカメラだけが手元にある・・・怖い・・・壊れにくい機械式カメラが欲しい・・あの金属の塊感が欲しい・・・」。
やっぱりビョウキだと思います。その結論として「やっぱりライカだ!レンジファインダーだ!」という気持ちになり、格安で入手したのが「Leica M2(ライカM2)」でした。(前置きが長い)

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かなり格安だったため外観も傷多めで、グッタペルカのイタミこそ少なかったものの、裏蓋のあたりはちょっと浮いていたり、実用ではあれど美品ではありませんでした。またファインターの内側の枠がメンテ不良なのか、少し汚れていました。その一方で、2重像も明確だし、シャッターもぜんぜん問題ない。フィルム室内部もまぁ年代(65年製)を考えれば理解できるスレ具合で、実用にはまったく問題ない状態でした。ある部分では神経質ですが、ボロだけど自分にとって使い勝手最高!という道具も嫌いじゃない。

使用感、フィーリングは当然、それまでに扱ってきたライカそのもの。まったく問題もなければ不足もない。ライカM2は「ライカM3」の廉価版ということですが、フィルムカウンターが窓式ではなくダイヤル式。巻き上げ、レリーズボタンと同軸に金属の輪が設置されており、そこが1コマごとに進んでいく形式。フィルム交換時に自動リセットがされないため、手で0付近まで戻してやる必要がある。忘れるとフィルム撮影枚数がわからなくなるという。
フィルム巻き上げはM3や、最近ではMP、MAなどと同様にノブ式のもの。実は最新のMP、MAがこれを採用しているのもわかる通りノブ式の方が実は使い勝手がよいです。M4~M6(M7もか・・)あたりのクランク式の方がたしかに巻きやすいですが、途中で指はなすとグルグルって戻ってしまってなんか面倒。落としたときの耐久性もノブ式の方が強そうです。その点、カウンター窓がない点も含めて、強度的にかなりタフに使えるのがM2ではないかと思います。
ちょっとした使い勝手の悪さとしては、フィルム装填がスプール式なこと。このあたりはバルナックやM3を経由した方なら通常の「儀式」ってことで許容できるかも。どうしてもここの手間をクリアしたい方は、あまり見かけないため高価ですが、ライカ純正の「ラピットローディングシステム」を入手すれば、M4以降と同様のフィルム装填ができ、手間を緩和できます。一時期これ探し回りました。某、再塗装で有名なお店にきれいな状態のものがありまして、値段問い合わせたりしてましたが、当時は金欠でスルーしていました。

変な話、ライカってハマるとどうしてもいろんな機種をとっかえひっかえしてしまいがちなのですが、シンプルで質実剛健という意味では意外とライカM2で「アガリ」ってなる人もいる気がしています。とにかく過不足がない。作りや操作性にまったくの心配ごとがない。そもそもなぜM2を選んだかというと、フレーム枠に35mmがあること。実はみんな大好きライカM3を使ったことが無いのですが、その理由も広角側のフレームが無いためす。個人的にはフィルムは35mmでラフに撮りたいというのが自分のスタイル。その点、35、50、90mmのフレームありのM2ですと、50mmも使えて自分としては不足がありません。

あと個人的に感じたのはシャッター音がとてもよかったことです。黄金時代のライカM3の直後ですから、ライカの安定感が一番いい時期の製品ということもあるかもしれません。もしくは多少の個体差か。とはいえ美品とはいえない状態で、あの「チャッ」というシャッター音は、自分がきいた中で最もよかった。製品のもつ底力をみた気がします。しかしシャッター音の良さに気づくのは後になってから。後にM4に移行し、それに慣れた頃に気づきました。M4は状態もいいですし、こっちの「パシャ」という音も撮っている感じがして心地よい音です。(後に書きますがライカM-Aの音はもっと「コッ」という感じ。こっちのが情報少ないので気になる方いるんじゃないでしょうか、にやり)

このライカM2を所持していた時期、ちょうど自分のバンドメンバーの女の子が結婚しまして、結婚式ではM2を持ち込んで撮影しました。つくづく自分、伊達男だなと思います(笑)。普段、自己肯定感低すぎなのでこうやってアゲてこ、ねっ。レンズは確かSummilux 50mm(第2世代)と、Summicron 35mm(7枚玉)です(デジタルはM-P240)。人に配慮してあまり挙げられませんが。

旅行などの外出が少なかった時期だったため、近所の散歩程度しか使えていませんでした。過不足もなく、不都合もない幸せな生活。なんで手放してしまったのか・・・そう、金欠だねっ!(泣)。
いやそれだけじゃなかったですが、おそらくこれがライカM4、現在のメイン機材への布石になったのではないかと思いますが、手放すことになります。確か手放したあとNikon F4とかにも手を出してましたが・・・そうやって人生は続く。


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使ってる方はかなりの伊達者、ライカM5について

先日書いたLeica M6と一部同じ時期に所有していた機種が「Leica M5(ライカM5)」になります。

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このライカM5は、ご承知の通りライカの歴史上、独特の位置づけとなっています。違いはそのサイズで、従来のM3~M4までのライカのあの形、サイズから1回り程度大きくなっており、「弁当箱」と揶揄されることもあったようです。サイズの理由ははじめて本体内に露出計を搭載したことによります。このギミックがM6などではより小型になり洗練された機構になっていますが、M5の機構は少々変わっています。シャッターチャージをすると膜とレンズの間に上から棒の先が「丸い的」のようになっているものが降りてきて、そこに光が当たることで測光する仕組み。レンズを外して動作させると、上からレバーのようなものが降りてくるのが見えます。レリーズ時にこれが上に上がってシャッターが切れる感じ(その的は測光のみ機能している)。当時は70年代、日本の技術力が高かった時代で、この辺りの仕組みは日本の機種の方がスマートだったと思われます。それが例のLeitz Minolta CLなどにつながっているようです。M5のこの野暮ったいけれど、機構としての効率はよく練られていると感じる仕組みは、これはこれで「手作業のエンジニアリング」って感じがして、素朴で好きです。この露出計の機構は前述の「Leitz Minolta CL(日本以外ではLeica CL)」にも踏襲されています。

ちなみに「弁当箱」という揶揄ですが、この感覚、いまのお若い方にわかるかな。(自分もそこまで年寄りではないけど)、M5がリリースされたのは70年代なかば、当時の弁当箱は現在のカラフルなプラ製ではなく、アルミ製の無骨なものでそれに概観が似てたことによります。みたことありますかね。今もあるか・・・別にいいけど。

さて入手したライカM5についてですが、経緯はあまり覚えていません。もちろん経路、値段など覚えていますが、いろいろ物色している中で、急に触ってみたくなったという感じでしょうか。あまり人気がなく、比較的、手に入れやすい値段だったとか、雑誌で「密かに人気」と書いてあって感化されたのかも・・・。入手したブツは当時の相場よりかなり格安で状態のよいものだったのは確かでした。
メンテナンス済みでファインター部は直近で清掃済み、個人所有でかなり大切に保管されていたらしいシルバーの美品でした。それがアンダー5万、これは手を出してしまう。吊り下げ位置が2点の初期のもの。

実際届いたものは、大きな傷や汚れもなくかなりきれいで驚きました。グッタペルカの剥がれもなく、ファインダーもクリア、巻き上げもOK、そして壊れやすいため当時でも完動品は珍しかったですが、露出計がOK。とても状態がよいものでした。何本か試し撮りしたのですが、写りも問題なし。当時はVoigtlanderか、沈胴Summicron 5cmでしたが、とてもシャープな写りをしていました。いま写真を見返すとシャープな中に独特の繊細さが宿っていて惹かれる写真だなと感じます。割と暗い状態での写真も一部ありましたが、結構ちゃんと写っている。

よく大きなサイズから不人気と言われながらも、使い勝手の良さは史上一番と言われることがあるM5ですが、そのアンビバレントな存在はいまでも独特だと思います。使い勝手の面では、ある意味その後のライカM6よりも上です。理由はファインダー内にシャッタースピードと、赤いメーターの線が表示されており、SSダイヤルもレリーズボタンと同軸で前面に突き出た形でついているので、ファインダーを除きながら人差し指でダイヤルを回すことでSSの変更ができ、ファインダーでSSと露出を確認しながら操作できる。しかもM6以降の赤い丸や三角といった記号ではなく、追針式でメーターの針が動いて目盛りと交差するところが適正露出となるため、直感的にわかりやすい。個人的にはこういうのを手作業のエンジニアリングと呼んでいますが、変に記号化したり、抽象化しないで血肉のかよった使い勝手を追求するということ。このあたりの工夫が一番使い勝手がよいと言われる秘密でしょうか。一方で、本体は重く、大きいため、持ち運びは不便。しかも触ってみるとわかるのですが、おそらく一回落としたらアウトだろうなという「繊細さ」も持ち合わせていました。
また別の側面で言えば、いまだに一般的なカメラで採用されることがない縦吊りのストラップ位置も奇妙でありながら、使いやすくファッショナブルだとも思えます。概観のデザインも、いま見直すと70年代当時のレトロフューチャー感を感じなくもない。よくエンジニアリングされた使い勝手の良さと、どこか野暮ったさを残しつつ高度に洗練された感じが奇妙に同居しています。

そして、その無骨でありつつ非常に繊細、というところが少々面倒になり手放すことになりました。私はダメな浮気者なわけです。要はもっとラフに、気軽に、持ち出して撮りたい、しかもそこにミニマムなデザイン性とシャープな描写があればなおよしという感じ。カメラ好きはわがままです。そういう意味では、サイズ、デザイン、使い勝手はライカM6あたりのバランスが、やっぱ最高なんでしょう。
それでもどこか気になってしまうライカM5。あのデザイン、存在感、使い勝手はやはり魅力はあるんですよね。その面倒くさいところ含めて使える人は、かなりの伊達者だと思います(普段着から着物きてそうw偏見ですかね・・)。