以前、Summicronについては遍歴(その1、その2)を書きましたが、他のレンズについても書いていこうと思います。レビューというのもおこがましいため、自分はこんな感じで使っているよ程度で。
いま所有しているレンズはすべてSummiluxになります。50mmの第2世代(68年あたりのもの)、35mmの旧ASPHでフォーカスシフトが悩ましいモデル、それと35mmの球面タイプ第2世代(カナダ製、80年代のものかな?)の3本です。
紆余曲折ありこのラインナップになっていますが、自分的に質感が気持ちがよかったのがSummiluxだったようで、最終的に手元に残したいと思ったのがこれだったという感じです(Lux50mmは以前、現行ASPHも持ってましたが惜しくも放出してしまいました。)
【中古】 (ライカ) Leica ズミルックス35/1.4(2nd)【中古レンズ レンジファインダー用レンズ】 ランク:B
確かにライカレンズではスタンダードレンズでありつつ、最上級レンズの1つでもありますが、切れ味のいいシャープさと、一方で独特のにじみや質感を持っており、キリっと撮りたいときも質感を生かして雰囲気を撮りたいときも対応できる使い勝手のよいレンズだと思います。その中で、最近入手した球面ズミルックスこと、球面 Summilux 35mm f1.4 第2世代について記載いたします。このレンズの名称ですが、ASPHと区別して「球面」とつける場合や「Pre-asph」とか「2nd」とつける場合があります。とりあえず通じやすいので球面とつけてみました。
それはともかく、なんだか手に入れて間もないレンズについて書くのは、使用感とか、作例の少なさとか考えると、まだ早いかなと思いつつ、かなり状態のよいものを入手できたので自慢したくてしょうがないという話です笑。要はそういうこと(ごめん!w)。
これ第1回と書いてますが、とりあえず初回なので入手したモノはどうよ?というのと、少しだけ作例、ファーストインプレッション的な感じでいこうかなと思います。まずは外観について。
目次
外観、レンズともに思ってたより美品だった
入手にあたって現物を店舗に見に行きました。複数在庫があり、そちらも見ましたが、こちらの方が値段が安かった。他のものは店舗がメンテしてレンズもきれいでしたが、こちらも外観、レンズ面などみて問題ないと感じました。
手元のライカM6に装着するとこんな感じ。年代も近いのでデザイン的なマッチングは最高ではないかと思います。
以下、細かい外観を見ていきます。外観は傷も少なく、文字消えもなくかなり美品です。
第2世代ということでカナダ製です。絞りリング、フォーカスノブも傷なくきれいです。カナダ刻印はレンズ枠側に書いてあるものと、本体サイドのこの位置にあるものあとありますが、細かい種類はよくわかりません。シリアル的には80年代のものではないかと思われるので、わりと最後の方、、、最新のものではないでしょうか。
年代物の割にきれいだなと思ったのは絞り羽根。以前、70年代のSummicronでかなりきれいなものみたことあるので、まぁ、これくらいの状態のものは残っているのかなという感じ。
個人的にはマウント部分が妙に状態がよかったので満足しています。
若干特殊な球面ズミのフード
驚いたのは付属してたフードがかなり美品であったこと。このモデルはフィルター装着にフードが必須なこともあり、中古を漁ってもフードに使用感があるものが多い印象です(別途入手は1.5〜2.5万ほどするので付属なのはお得でした)。
ライカレンズの歴代フードは、フードだけでコレクション対象になるほど多彩かつ造形の美しいものが多いのですが、中でもこの12504フードは変化球すごくてw、フードが2つに分割でき、その間にフィルターを挟んで使用する仕組みになっています。しかも逆にレンズ側にフィルターのねじ込みがなく単体でフィルターがつけられないという謎仕様になっている。ほんと困っちゃうよね、こういうの・・・。
またここでTIPS的なものがあって(もう面倒だな・・)、このフードの間に設置するフィルターにも専用のものがあり、シリーズ7という型の専用のものを乗せるとうまく収まるようにできています。ただ、ここには汎用の49mmフィルターもうまく収まるサイズになっており、自分は面倒なので普通の49mmを載せています。(上の写真がすでに49mmを載せてある)
Kenko 49mm レンズフィルター MC プロテクター NEO レンズ保護用 日本製 724903汎用49mmフィルターも乗るには乗りますが、上の写真のように最後までネジがしまらない状態になります。とりあえずまったく問題ないのでしばらくこれで運用予定です。(シリーズ7フィルターはライカ純正だと2.5万もしますが、Kenkoさんから出てる特注品なら数千円ほどなので気になる方はそちらを)
ちなみにこのフードにも非純正品もあります。それとこのフードは例えば7枚玉とかの球面Summicron 35mmとかにも代用できるようです。
例の開放描写はなるほどすごい・・・
このレンズ、一番有名なのは開放での描写。開放f1.4〜2にかけての描写は、ものが白く滲んだような写りになる。そのためクセ玉とも呼ばれたりするものの、表現としてうまく活用すれば、少し薄暗い室内などでの人物ポートレートや、静かな室内の空気感などをうまく表現できそう。それと開放ではちょっとした光のあたり方ですぐにゴーストやフレアが出てしまう。自分が入手してから周囲で撮影したものだと、開放での撮影が少ないからそこまでフレアが気になるものはありませんでした(第2回があればそれを待たれよ)。一方でf2.8〜あたりからでしょうか、絞るとキリッとした明瞭な描写になります。風景や日中のスナップなどではシャープに風景、建物などを切り取ります。人によっては開放を使わずある種「Summicron」として活用すえばよい、という人もいるほど。どうもこのレンズがカルト的な人気を保っているのもそういった二面性が効いているようです。以下f1.4での作例(簡易的にM10で撮影、つまらなくてすまん)。
以下、等倍っていうのかな、ピントの部分を拡大したもの。たしかに薄いベールがかかってるように見えるので一瞬シャープじゃないようにみえて、拡大するときれいに写っている。
以下、フィルムでの作例。ちょっと現像液変えたのでその点考慮するにしても、フィルムだと日中にf1.4になることは少ないので、かなりシャープに写っている。(6/16追記:デジタルで撮った作例追加しました。同じ紫陽花の写真ありますが、一方は開放ぎみに撮影。確かに白いベールがかかった写真になりました。)
このレンズ、こういった奇妙なスペックを備えていて人気があるのだが、個人的にはこのスペックでこのコンパクトさが実用に最適と思い入手に踏み切りました。従来35mmとして使用していた旧ASPHのSummilux 35mmがいかんせん大きい・・・。元々35mmはSummicron 7枚玉(かなり小型、軽量)を使用していたので、どうしてもその機動性を求めてしまっていました。このSummiluxはあの7枚玉の機動性を持ちつつ、開放以外での写りのシャープさ、それでいてf1.4の明るさ、シルキーな写りをする表現力などを兼ね備えたレンズといえます。そこにどうしようもなく惹かれます。
そもそもSummicronでええやん、というツッコミはなしで。やっぱりSummiluxの独特の雰囲気、好きなんですよね・・。