小型で使い勝手がよいLeitz MINOLTA CL、逆にいま欲しい

どのタイミングで手に入れたか、忘れてしまいましたが、確かα7IIやCanon F-1(過去記事)とか、他のいくつかのカメラと同じ時期に所有していた「Leitz MINOLTA CL(ライツミノルタCL)」についてです。

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New F-1で本体の重さに懲りたのですが、もっと手軽にフィルムカメラを使いたい、小型で軽量で・・・とわがままになっていき入手しました(まぁ色々理由は並べるけど、欲しいもんは欲しいーしかないんですけどね・・)。当時、Voigtlander(フォクトレンダー)のレンズ、たしかNokton 50mm/f1.5(L39マウント)などを所有しており、MLリンクをつけてMマウントボディで使ってみたいと考えていました。

そこでMマウントボディを探すわけですが、当然ライカM6やライカM3など花形機種は高額なため断念(・・・まぁあとでM6、M5、M2、M4、M-A、再度M6、M4は入手するので、これが地獄のはじまりといえばそうなりますがw)、比較的手頃なMマウント機、ライカCLに目をつけました。ただし純正ライカCLは当時でも若干高値でしたので、Leitz Minolta CL(ライツミノルタCL)に目をつけました。当時のオークションでは、徐々にオールドのフィルムカメラの値段が上がりつつあり、Leitz MINOLTA CL(またはLeica CL)の人気が少し出始めていました。値段も上がりつつあり、稀に出てくる安いものを狙っていました(Leica CLは中身はミノルタと同じでもネームバリューで少し高い)。

さてCLを探すにあたり、メーター(露出計)の動作はあまり期待していませんでした。元々Leica IIIfでは勘露出で撮影していたので、なくても対応できる。露出計のある・なしのカメラを往復してみると、露出計があると甘えてしまって勘がにぶることがありました。当時しばらくCANON F-1で露出計に慣れていたので、しばらくは慣れが必要だろうと思いました。それにかなり古い製品なため、メーター動作する製品の方が少ないとも聞いていたので、ここの優先度は低く見積もっていました。

Leitz MINOLTA CL(ライツミノルタCL)について

Leica CLは系統としてはライカが始めてメーターを搭載したLeica M5の派生だそうです。ライカ語りの面倒くささは、製品自体を語るのに会社の歴史を絡めて説明しなければならないこと。当時の状況ざっと概観すると、70年代前半からカメラは日本企業が席巻しており、ライカのレンジファインダーですら時代遅れにってきていたことと、ライカM5で露出計をはじめて組み込んだもののサイズ、デザインが従来のものと異なったためファンからも不評で、会社が傾きつつあったとのこと。まぁ複合的な要因だと思いますが、秀逸なデザインと機能性、それに堅牢性などを総合的にインテグレートできる状態にはなかったということなのでしょう。そんな流れから、日本企業とのコラボでコンパクトライカの開発が行われたようです。当時の日本は高度成長期でしたし、エンジニアリングは優れていたと。

さてこのライツミノルタCLですが、概観や作りが、まぁ他と比べればチープな印象を受けます。現在ではライカ史のメインストリームからは外れることが多い製品ではありますが、今では一周回って味があると個人的には思います。とはいってもシンプルで機能的という点はさすがライカとも言えます。

概観はシンプルで小型、手で持ちやすいサイズです。それに外装も少し薄く軽量なのもいいです(といっても金属なので相応の重さはあり)。シャッタースピード(SS)、ISOのダイアログが前面のシャッターボタン下にあり操作性がとてもよいです。ライカM5と同時代なためかストラップの取り付け位置が縦吊り位置についています。またファインダー内でブライトフレームだけでなく、SS、露出設定も確認できるため(ここもM5を踏襲)、撮影の使い勝手も意外といい。最近、フィルムカメラで写真を取る若い人が増えていますが、いまライトにレンジファインダーでフィルム写真をはじめるとしたら、このサイズ感と重さ、使い勝手、縦吊りのストラップなどファッション性も含めて、意外といい感じなのでは?それに本物のライカでもありますし、天下のMマウントをリーズナブルに試すにはよい機体だと思います。

私が入手したのは3万に満たない金額のもので、メーター動作不明(まったく期待してない)、多少汚れと打痕はあるが、シャッターはある程度動作しているものでした。ファインダーも汚れはあるが、それなりにクリアとのこと。2万円台はいまとなっては少しお安めかもしれません。当時は中の下くらいの状態。(もっと駄目なものだと2.5、程度のよいものは3.5~4万くらいかと。今(2019当時)は4~5万という感じでしょうか。Leica CLの方はネームバリューであまり相場は変わっていないようです。)

使用感についてですが、「巻き上げの感触が・・・」とかきもちわるいことを(←揶揄ではないw)言い出すのも野暮ですが、多少チープでありつつ別にそこまで変な感触でもなくスムーズに動作します。そこはM型などと比べるものでもないですし、そこまで気にならない(オールド製品は気にせず使うのだ、という気概が大事)。シャッター音や動作自体はいわゆる布幕フォーカルプレーンシャッターのそれで、特に問題ありません。フィルムの装填は、ボディの下側がガバっと外れるようになっており、ローライ35などと同じイメージです。メーターの電池もフィルム室の端に設置できるようになっています。使用電池は入手できないMR-9水銀電池を使用していますが、関東カメラサービスが出している電圧調整用のアダプターを使えばSR44などで代用できます。(現在入手できるボタン電池は1.5Vありますが、当時は1.35Vの電池であったため、電圧の違いから露出が1段高く表示されるため、このような処置をとります。)。とはいえ、このライツミノルタCLは露出計は不動でした。わざわざテストのために3000円くらいするアダプターも入手したんですけどね、動きませんでした(シャッターボタンを半押しすると、微妙に針がゆれる程度)。早々にあきらめて感露出での運用に切り替えました。ちなみにこのときのアダプターはその後ローライ35で使われることになります(後日記載します)。

Leitz MINOLTA CLでの作例など

そんなこんなで撮影できた写真がこちら。

CLで撮れたものではわりと気に入っている
雨上がりの夕刻、少し暗めですが後ろボケがいい感じ

よく自由が丘などを散策しながら使っていましたが、フォクトレンダーのレンズ性能なのか、たまたま勘露出がうまくいっていたのか、もしくはシャッタースピードがうまいこと正常だったのか・・・非常によく取れていました。当時は雨の日が多くあまり外で撮影できていなかったのですが、合間で撮影、個人的にはとてもいい雰囲気のものが撮れました。もしろん露出がいい加減なため、暗かったり、明るかったりすることはありますが、ある程度満足できました。

実際の撮影時には首に縦に下げる形でショルダー的な下げ方をしても小型で邪魔になりません。ライカ社さんも逆に今、新製品として廉価版フィルム機のCLを20万くらいで出したら大ヒットするんだけどな、とか思ってしまう(さすがにフィルムのMPやM-Aで60万はさすがにきつい・・)。30万以内なら検討段階に入ってくる感じですw。(FUJIFILMさんでもいいんだけど、どっかのメーカーさんフィルム機だしてくれないかなぁ・・・)このサイズ感と気軽さ、そしてライカという点でも、スナップしやすくて、その上で35mmフルサイズと考えると非常によい製品です。今は残念ながら手放してしまっているのですが、もう一回サブ機で欲しいと思わせてくれます。フィルム写真でライカが使いたいけど高い、といった人にもおすすめできると思います。露出計はスマホアプリでも補えるので問題なし。気軽に撮影を楽しみたいと思うなら十分楽しめるカメラだと思います。

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吉祥寺のデパート
夜にちょっとしたライトアップされた公園
ボケの感じも自然かなと

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はじめてのフィルムカメラ、バルナックライカ「Leica IIIf」

まずは自己紹介となりますが、私は趣味でカメラをいじっている都内在住の人です。この数年で、いろいろとカメラに触れてきて、自分なりの所感であったり、使い勝手、メリデリなど、お伝えできることがあればと筆を取りました。とりあえずはフィルムもデジタルもごちゃ混ぜではあるのですが、特にライカのカメラについては縁あっていくつか触れてきましたので、これから書いて行こうと思います。

さて一本目、フィルムカメラについて。

すでにレトロな存在となって久しいですが、2010年代半ばからでしょうか、一部の若者の間で流行りはじめ、19年現在では街を歩くと10代〜20代と思しき若者がフィルムカメラを下げている光景をみかけるようになりました。まぁ流行といっても世間一般からいったらかなりニッチな存在だとは思います。
私が最初に・・・ここでいう最初は「大人になって自分の意志で」という意味ですが、フィルムカメラを手にしたのは確か2015年前後だったと思います。私はそこそこの年齢ですので、幼少期はフィルムカメラしか存在しなかった時代に育ちました。大学生まではフィルムが一般的だったのを思い出します(年齢がバレますね・・)。黒歴史ですが当時よく「写るんです」で適当なものを撮影しては現像していました。その後デジカメが出て、社会人になる頃には携帯端末にカメラが付いて、毎年カメラ性能が上がっていく・・・という時期。しばらくは携帯のカメラで適当に撮っていましたが、そのうち給与も少し上がり、趣味として写真をはじめました。昔からやってみたかったのですが、お金もかかるし、忙しかったため手をつけていませんでした。最初に購入したのはNikonのAPS-Cデジカメでしたが、しばらくして、何を思ったのか、フィルムカメラに興味を持ちました。

はじめてのフィルムカメラがライカ

おそらく最近フィルムカメラをはじめた方の中では珍しいのではないかと思うのですが、(逆に今の若い方は情報量多いので、あり得ると思いますが)最初に手に入れたのはバルナックライカこと「leica IIIf ブラックダイヤル」(セルフなし)でした。

LEICA ライカ バルナック IIIf 3f 1953年製 (中村光学OH済)

最初からライカ。

この代償はかなり大きかったと思います。その後かなりの出費を強いられ、いまもって支払いが残っている身からすると、この代償はとても大きいと言わざるを得ない(笑)。

当時、何の気なしにフィルムカメラを探しはじめ、なんとなくヒットしたのがライカでした。今では信じがたいことに2万円代なかば、並品でした。少し郊外にある某店舗に赴き、ふらっと買ってしまいました。購入時、似たような形をしたCanonのクラッシックカメラと迷い、店員にどっちがいいですかね?と訊ねるくらいには何も知らなかった。店員は当然ライカを推してきました。
そもそも幼少期、金属の塊や精密機械類を見たり、分解したりが好きな子供でした。とても自分らしい選択。人は自ら選択して進むことに満足を見出します。
しばらくレンズもつけずに空シャッターを回して悦にいっていました。
ギリギリギリっとシャッターチャージをして、ボタンを押すとシャッとシャッター音がする。原始的な作りなのは見た目にもわかりますが、その精密さ、機構の見事さ、手の中で歯車が動作するあの感触。いまだにライカにハマる人がいるのは当然のように思われます。

当時オールドカメラについての知識は皆無でしたが、子供の頃から骨董好きだったこともあり、色々と調べ始めます。当時、ちょうどSONYのミラーレスが普及しはじめており、「オールドレンズ遊び」なる言葉も登場、書籍などもでてきたタイミングでした。
調べ始めると、マウントがL39というらしい。そのマウントはライカ以外のメーカーでも数多くレンズがあり、いまは東欧の安いレンズも出ていると。そこからオールドレンズ沼へと進みました・・・。最初は東欧レンズを漁り、おそらく最初はジュピターの50mmあたりを手に入れ、満足できずすぐに放出、いくつか経由したあと、我慢できずライカのエルマー50mm/f3.5へと進んだ記憶があります。結局はオリジナルメーカーのものに落ち着きました。

エルマーは、小さいながら独特の重さがあり、確かに名玉の風格を備えていました。しかし後ろ玉の隅に大きな傷があり、チリも入っていました。果たしてこんなもので写るのだろうか・・・。そして1枚目・・・とは言いませんが、フィルム一本目か二本目あたりで撮れてしまったのがこちら。

都内、遊歩道のベンチにて

写真の腕前や構図、内容の良し悪しはともかく自分のお気に入りの1枚。
何気なく撮った風景がこれほど絵になろうとは・・・。ここから長いライカの旅が始まることになります。(レンズの傷によって左上あたりにゴーストが出ている)

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バルナックのアクセサリーを漁る

このあたりから色々とオールドカメラやアクセサリー、レンズなどについて調べはじめます。意外とこういうとこ探究心があるのが運の尽き。手元のバルナックの使い勝手をさらに改善すべく、ユニバーサルファインダー「VIOOH」を入手。(よく考えるとこのファインダーだけでボディの70%くらいの値段w)。さらにエルマー50mmには純正フード「FISON」を設置。独特なバルナックの撮影が非常に楽になったのを覚えています。さらにフロントキャップも金属製のものをチョイス、またストラップも革製の質感のよいものに・・・。

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最終形態のLeica IIIfの写真

一人で羽田空港付近を撮影したり、渋谷、代官山あたりをドヤ顔で散歩したり・・・。あの当時わたしは都内有数のおしゃれだった自負はあります(笑)。まぁそれくらいの気持ちでいた方が自己満足としては十分でしょう。

当時、露出計を持っていなかったので「感露出」で対応。暗すぎたり、明るすぎたりする写真を量産しましたが、日中の撮影はフィルムのラティテュードに助けられてそれなりの写真が撮れていました。勘はわりとわるくない。ある時、リバーサルフィルムなるものがあることを知り、試しましたが、すでに高かったこともあり、1本程度しか試しませんでした。感で撮影するには難しいフィルムでした。(高かったといっても当時1200円くらい、現在は2000円〜くらいでしょうか・・。フィルムについてもどっかで語ろうと思いますが、もっとも驚いたのは、2019年〜2020年の間だけでEktar100が倍の値段になってること。怖い。)露出はいい加減でも日中ならそこそこ行けるかな。

その間にも、安い東欧レンズ、主にロシアレンズを使ったりしていました。でも写真に残っているのはほぼエルマーが大半だと思います。作例をいくつか掲載します。

物欲番長を自認する私は、その間にも色々と買い物がかさみ、いつしかキャッシュ・フローがおかしくなっていきましたが、それは現在進行形なのでさておくとして、バルナックライカは手放すこととなります。

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売却時にも紆余曲折あるのですが、どこで売却しようか考えたときに、オールドカメラなので通常の販売店だと高値がつかない。一方当時、ヤフオクなどは使っていなかったため、手段がなく、某カメラ買取、その道うん十年という感じの方に、ずいぶん安く売却してしまいました。粘ったので、いまから思えば、彼らの立場にたって考えるとあの値段がギリギリ採算取れるラインだよなと思いつつも、ネットで、ヤフオクとかで出していればもうすこし行けたかなという面もあり、ちょっと悔しい思い出です。それがあったのでその後、本格的にヤフオクに参加して、それはそれで今でも支払い地獄が続いている原因にもなっているのですが・・・。

ある意味、勉強になったと思います。その後の教訓にしているつもりですが多分なってない。そういえば最近、バルナックライカはクラシックな外観や、ライカボディ、レンズを安価にはじめられるためか、若い方にも使用者が多い印象です。自分がまた使いたいかと言われると、最後の最後に戻る可能性はありますが、一度M型を使ってしまうと少々面倒かなと思ってしまう。サイズ感がよいので重い荷物が苦になってきたとき・・・かな。